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管球オーディオ雑感記。

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カテゴリ:kennoy工房。( 31 )

最高峰を体感。

所謂トルテを弾く機会がありました。言わずとしれた最高峰ではありますが楽器以上に使い手を選ぶ弓でもあります。そしてなかなかご尊顔を拝する機会がないので(特にチェロは)自分は今回で4回目です。全部違う個体ですが。

大体は以前体感した印象と同じでしたが、幾つか興味深い点が。一つは「最晩年の作なのに軽い」事。1830(82歳!)の作品で72,5gしかありませんでした。実は弓の重さの目安を作ったのもトルテと云われていて(正確には諸説ありそう)チェロは大体80gと云われています(ラッピングなどを含めた総重量)。なので黄金期を過ぎて最晩年のこの固体がだいぶ軽いのには軽いジャブを喰らいました。

またその軽さにも関わらず、これまで触ったトルテのなかでは細いのに強い方でした。経験上では大体他のOLD弓より4割増しは柔らかい傾向なのですが、2割もないくらい。
そして特徴である「どこから音がでているかわからない、定位感のない鳴り方」の印象は、やはり同じでした。これは自分の体験ではトルテに全部共通していて、ほぼ唯一無二です。

図録に載っているクラスのものは初めてでしたが、想像含めて大変勉強になりました。やはり「買えなくても本物を見ることは大切」です。






by kennoy-mini | 2019-07-14 08:14 | kennoy工房。 | Comments(2)

毛箱の話。

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・・・ある弓職人の話によると、現在は弓の毛箱はもう殆ど「外注」が主なんだそうです。コンピュータ等で設計図を作成しサイズを指定、毛箱専門のメーカーがそれを製品に起こす・・・というスタイルが殆どとか。恐らくそこで「半完成状態」で到着したものを自分で最後の仕上げをして弓として完成するという。毛箱作成は時間がかかる割に音に影響が少ない、なら竿の削りに集中、、、という考えなんだと思います。

・・・という事は「毛箱は音に関係ない」という事に聞こえます。半分正解かもしれませんが、自分は広い意味で音に影響あると思っています。というのは毛箱は毛が直に固定されている、振動に近い箇所だからです。それ以上に弓としての最重要構造物なので、最終的には間接的に音に影響しますね。
プレイヤーにとっても毛箱は手にじかに触れる所なのでかなり重要です。持ち心地(特に痛くないか、とか)、スティックと毛の高さ、張り具合は演奏に決定的に関係します。
黒檀は重い木なので、新品の毛箱が振動に良い意味で共振するまで(毛箱が「鳴る」まで)は1~2年はかかります。鼈甲や象牙だった場合は究極的には5年以上かかるそうです。

毛箱は同じように見えて実は作者によってラインが違います。自分はまだ分かりませんが、おびただしい数をみると少しずつ違いを感じてきます。







by kennoy-mini | 2019-06-26 16:47 | kennoy工房。 | Comments(0)

木取りの話。

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弓の材料フェルナンブコは基本的に左の2番の形状で「フェルナンブコ粗材」として職人・店に売買されます(既に新規伐採は禁止されているかと)弓職人によって弓の形状に削られ、左図3の状態をアルコールランプで材を暖めて反りを入れ、右図3の弓のかたちになるわけですが、トルテは右の2番の状態「製材段階で曲がって木取られているのでは説」がある、という話。実際どうなんでしょう。
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右図の状態は灯を入れないのであれば繊維に負担がいかないのかもしれません。ただ繊維としては左の製材より途切れるのではないかとも思います。右の製材はレスポンスが良いとの噂もあります。な~んの根拠もありませんが、自分はトルテも基本は左の普通の曲げ弓ではなかろうかと思います。中には実験的に右のような製材もしたでしょうけど。現在でも一部で右のやり方で弓を作っている方達もいます。クルマにおけるロータリーエンジン的な存在ですね。
ただ矛盾するようですがトルテの木取りは独特(敢えて節を入れたり)だったり、逆に見事に均一だったりするようです。そもそも選ぶフェルナンの質(傾向)が他の人とは違うという話です。
弓における「反り」はかなり大事なファクターです。過去何度か反りを入れなおしてもらった事がありますが、本当に感覚が別ものになります。木なので段々(微細に)捩じれたり反りが抜けたり、演奏者の癖で曲がったりするのです。ただし反りなおしは非常に技術が要ります。基本的には作った本人が反りなおしをすることはまずないのですから・・・(近くにいなかったり故人だったりする)




by kennoy-mini | 2017-09-17 07:20 | kennoy工房。 | Comments(2)

ローC。

職人は楽器のシェイプ、厚み、材料、その他で(つまり見た目の情報で)楽器の音や可能性がかなり判るようです。今までそれがどうしても信じられませんでしたが(弾かないのに判るか!!と)、、、最近は(そうかもしれないな)と思います。大人になった自分(笑)。

よくテノールの世界で「ハイC」とか言いますが(高いドの音をばっちりキメル!の意?)自分のなかでチェロの好きな「ローC」があります。C音はチェロの最低音(開放弦)なので音色音程は変えられません、楽器の素養とボウイング一発です。その「C」の中にどんな成分があるかが重要なようです。自分が求めるのは「ちゃんと一番低く聴こえるねいろ」。Cは周波数としてはそんなに低い音ではないので(古典のオケ曲ではコントラバスがチェロと同じ音を1オクターブ低く弾くので低いと錯覚する)特にオーケストラでコントラバスが休むと腰高に感じます。
でも、敬愛するベルリンスキー御大(ボロディンSQのチェリスト)の音はまるでコントラバスも一緒に弾いているかのような低い印象のねいろがします。「一人でオーケストラ」のような音です!なので「ローC」も本当に「チェロの最も低い音」らしく聴こえます。この要素が欲しいのです。Vnも自分の好きなG線開放弦の音があります。ヴィオラは・・・イマイチ判りません(笑)。




by kennoy-mini | 2017-08-31 02:36 | kennoy工房。 | Comments(0)
音楽を表現する上で、音色(おんしょく)、そして「ねいろ」は大事な要素です。自分の中では「おんしょく」と「ねいろ」は別で、「音色」は自分の中で作るもの、「ねいろ」は自分プラス道具(楽器ですね)。で、音色については横に置いておいて(笑)、ねいろです。ねいろは楽器(弓)に依存する訳で、弦楽器でいえば形、材質、年代、厚み、パーツ、弦、張力あたりでしょうか。この内奏者本人が後からチョイスできるのはパーツと弦と張力。一番難易度高いのは張力。未だに試行錯誤しています。

張力は弦の長さの他に太さ、材質、種類があります。弦はどのメーカーも大体ソフト、ミディアム、ストロングがあり、当然メーカーによって同じストロングでも張力が違います。自分は結構上2本、下2本を同じメーカーと同じ張力で揃えます。五度があいやすい、良い質の共鳴がしやすいからです。ところが、例えば1番線の強さを替えると4番線のねいろや倍音が変わる。2番線を変えると3,4番線のねいろが変わる、といった事がまま起きます。ヴァイオリンでは外側と内側の弦の強さのバランスでよく調整するらしいのですが、これが楽器の形やアーチ(側面からみた表、裏板の膨らみ)で合うタイプが読めるらしいのです。でもチェロはヴァイオリンほど楽器としての(形の)完成度が低いのでそのセオリーをあまり使えません。もうきりがないので普段はあまり探しにいかないのですが最近楽器に可能性が上がってきているので、今年は節目で弦の種類を替えています。自分の中に「理想のC線」(最低音)のねいろがあるんです。最近までそれに気付いていませんでした。オールドの楽器でないと出ないねいろだと思いこんでいたので。

それが最近、時折出るようになったんです。(えっ?)と思いましたが下2本の弦を職人のアドバイスでゲージの細いタングステンにしてからバランスが変わり、それだけが原因でありませんが時折出る。どうやらその「理想のC」は固有の倍音バランスなんだな、と判りました。ゲージを細くすると低い倍音は出にくいイメージがあったのですが、上2本との張力バランスの違いで変化が生じました。
もう約25年使っているのですが、張力バランスはまだつめられそうです。まさかでしたが。可能性を見出せる事は本当に嬉しい。まだまだ勉強です。






by kennoy-mini | 2017-08-30 08:12 | kennoy工房。 | Comments(2)

銘木研究。

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藤井聡太4段の連勝のニュースを見ながら視線はつい将棋駒の木目に目が行くkennoy-miniです(笑)。良い黄楊使っていましたね~。あんな黄楊を楽器に使ったらどうなるんだろう・・・
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色々調べると楽器のフィッティングに使われているツゲは、高いやつは恐らくセイヨウツゲ、廉価なのは恐らくシャムツゲといわれるアカネ科のツゲに似た木、という推理に至りました。セイヨウツゲ(ツゲ)はフランス、トルコ、英、中国など、シャムツゲはタイ、ミャンマーなど。・・・という訳で日本の黄楊を使ったフィッティング計画を妄想中です(笑)。材料確保からはいるので何年かかけた計画にはなりますが・・・

そうして調べるとローズウッドも色々難しい。ハカランダと呼ばれるブラジリアンローズはずいぶん前に輸入制限がかかり、現在パーツに使われている可能性はゼロでしょう。90年代位のフィッティングパーツにはどんなローズが使われていたんだろうか・・・ハカランダ材も今でも入手できるかググってみてますがこれは無理っぽいですね。ギター職人もそんな良い材料を譲る気はないだろうし。




by kennoy-mini | 2017-06-12 20:13 | kennoy工房。 | Comments(2)

正月は・・・

正月は何気に「楽器のセッティングをじっくり見直すチャンス」でもあるので色々。

再びテールピースを変更。フェルナンブコの材は一時期はやりましたが
最近は一服した感がありました。vnやvaでは最近流行っているようですが・・・
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弓の材料だけあって、固体差が凄くあります。なぜなら、「良い材料」という事は弓に使われる率が高いというわけで。なので良い材に出会うまで何度か買いなおしました。(以前のは友人や生徒に譲った)手持ちは精鋭2本です。

今回、久々で着けてみたら・・・やはり発音やキメに関してはバツグン。
厚い楽器にはやはり良いようです。
暫く使ってみます。

実はテールピース関係は材質もさることながら「距離」が重要で。駒からテールピースの距離で音(と鳴り)が全然変わります。一応公式的な距離は決まっているらしいのですが全くあてになりません。散々いじったので身を持って実感。コンチュウとも関わってくるので、職人しだいで距離のとり方が間逆だったりします。テールガットも新品を使うと長さが暫くすると動いていたりします。なので調子がいいときの寸法をチェックしておくと目安になります。今の楽器も約12cmですが以前は最大13,2とっていました。ここを自分でいじれるとずいぶん違います。



by kennoy-mini | 2017-01-05 03:53 | kennoy工房。 | Comments(4)

脱皮の時期。

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オーバーホールしたチェロは3年半経って、漸く新しい段階にはいりました。
「脱皮の時期」です。
紆余曲折を経て漸く「動いてきた」感じです。
厚みと容積がかなりある楽器なのでパーツ類を軽いものを使い、
少しテンションをかけた調整で今まで鳴らす方向にしていたのですが、
こないだふと古くて軽いローズウッドのテールピースを見つけたので、
レスポンス重視のツゲから替えて、テンションも少し落としてみたら
存外良い効果がでました。
部品類も古いもののほうが今のより良い事がままあります。
今回までに3回ほどテンションは下げた状態をトライした時は全部駄目でした。
今回ようやく手ごたえあったので「脱皮」を感じたわけです。

深い音や低い倍音を出すにはネックやスクロール(渦巻き)をよく振動させないと出ません。
これらを動かすにはオールド楽器用奏法に近いボウイングでないと絶対動かない・・・
という事をここ数年感じていたのですが、
鳴り難い新作やモダン楽器でオールド奏法をしても
なかなかカスカスになってしまう・・・
その悪循環が今回あたりから漸く風向きが変わってきたのです。

個人的にローズ材でうまく鳴るのは理想的なので、凄くハッピーです。
自分の楽器だとツゲはモノラル的(音が中央から鳴る)、
ローズはステレオ的な(ワイドに横に響く)鳴り方になります。
ローズ材で鳴るのが自分の中ではベスト、というか好みなのです。
ローズは黒檀の次に重いのですがチェロの場合軽くすれば良いというもんでもありません。
vnはこの法則は当てはまらないかもしれません。
昔vaの友人に薦めた事ありますが「柔らかかった」と言っていました。
vnやvaとチェロは材料の質量が全然違うので同じ理論はあてはまらないようで。
というかチェロほど変化しないのではと思います。
一時期フェルナンブコ材(弓と同じ材)が大流行した時期がありましたが
パーツ類も昔に比べ質が下がりました。
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これはツゲ。ツゲ自体は白っぽい木なので
薬品でこのような色に染めるのが一般的です。
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↑これがローズ。左と右で15g以上の目方の差があります。でちらも良い材です。
反応の良い楽器では敢えて重くて締まった材を選んだりします。
ボウイングは本当に奥が深いです。最近は「水面」をイメージしています。
「波紋をイメージ」や「波を起こすように」振動を作り出すと、動き辛い箇所も振動します。
テンション(力)や重さだけでは本当に動いて欲しいところは振動してくれないです。






by kennoy-mini | 2016-12-16 01:15 | kennoy工房。 | Comments(2)

弓雑感。

知り合いの「2本目の弓探し」をアドバイスしていて色々思うところがありました。
演奏家が求める弓の要求はひとによりそれぞれですが、現在の自分が重要視しているものは「倍音のバランス(量)と操りやすさ、発音の角度、子音の好み、音の密度、音程のとりやすさ、ねいろ」あたり。勿論竿の強さや持った感じも大事なんですが、竿が強くないというだけで選択肢から排除すると、とても勿体無い目を。
また持った感じに違和感があるのはある意味当然のことで、勿論生理的に合わないものはだめなのですが、この時代まで残っているふるい弓はとても個性的な訳で、特にバランスが悪くても「私にボウイングや持ち方を合ワセナサイ、そしたら全てが簡単にナルカラ」というメっセージが強い。これは現代の、演奏家に媚びた弓(言い過ぎた、要望に合わせたデスネ)にはなかなかないものです。なぜ現代の作家がトルテを越えられないのは、材料が違うだけではないと思います。設計、コンセプトが違うというか。

弓のゾーンですが、自分では最近では感覚的に5つに区切っています。
「1」弓の始祖記~1830頃まで。トルテと同時代で真正なオールド弓。「2」1830~1870頃までのもの。ま、一般的に言われるオールド弓です。「3」1880~1940くらいまで。モダン弓、ないしはモダンオールドです。「4」1940~1970くらいまで。ほぼコンテンポラリーですが値段がこんてんぽらりーと差があるのであえて。「5」新作、要するに現在生きている作家の作品です。
この「1」のゾーンを触れる機会がほとんどない現代で、「1」を触ったことがあるかないかで弓の概念、選択が変わってきてしまう。こればかりは口では説明説得不能。

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弓でよく同業者が悩むのが「2本目の弓の選択肢」。よく「タイプの違う弓を一本」とかいう話はよくありますが、これが難しい(笑)。露骨に性能や所謂「クラス、ランク」が違う(値段ではなく)と結局ケースの肥やしとなってしまうので、よく考えないと。大事なのは「普段の仕事の用途、状況に合ったもの」。
なので、実は「同じ作者の弓」を複数持つことは全然「有り」。同じ作者でもタイプは同じではないですし。気に入った作者の初期、中期、後期で持てたら最高かも。


・・・あれ、真空管に全く当てはまるぞ(爆)時計やクルマ、きっとカメラにも・・・

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先週の水害で影響を受けられた人を思うとなんとも言葉が出ません・・・
11年の震災時を思い出しました。思いを持ちつつ、
なるべく平常心に暮らしていきたいと思います。

でも、なんというか「価値観・死生観」を再度考えますね。
こないだ衝撃的なCD録音にも出会い、なにか人間的成長の分岐点なのかもしれません。
by kennoy-mini | 2015-09-14 18:35 | kennoy工房。 | Comments(2)

3大憧れ弓。

自分の3本の憧れ弓について、メモしておきたいと思います。

フランスオールド弓製作者の詳細についてはラルジュさんのページにお任せして・・・
http://www.large.co.jp/b_m.html

フランソワ・グザビエ・トルテFrancois Xavier TOURTE
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グランド・アダムADAM, Jean (通称 GRAND ADAM)
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フランソワ・ぺカットFrancois PECCATTE
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まず現在の弓の形を定めたトルテですが(トルテも本当は4人います、フランソワトルテが有名)・・・本当に短い時間ですがご対面したことはあります。「オーディオは2種類しかない。WEか、それ以外か」に近い言葉をどこかで読んだことがありますが「弓はトルテとそれ以外・・・」と正直、体験してしまうと思ってしまいます。それぐらい違う。ねいろは透明感がり、子音が独特で、音は柔らかいのによく跳ぶ。TANNOYの音とALTECの音跳びを合わせたような(笑)。ここまでは他の銘弓にもある性能なのですが・・・トルテ独特なのは「どこから音が出ているか判らないような鳴り方をする事」、「手元では比較的静かなのに遠くでの音量は凄い」事。これは他の弓にはあまりない特徴です。スティックはしなやか、現代の基準でいうと弱い方。とても倍音のバランスがとれていて、ある意味地味な音ともいえるかもしれません。人々を惑わせるようなロマンティックな音色ではありません。また現代弓の感覚で持ってしまうと響きが止まり、本来の音が出ません。相当ゆるゆるに持って初めて真価を発揮する、奏者をとても選ぶ弓でもあります。

次にグランド・アダム。息子なのにグランドアダム(笑)。アダムも3人います。この製作者は特にビオラやチェロ弓の評価が高く、持ったバランスはあまり良くないのですが素朴で重心の低い、説得力の強い音がでます。2回ほど借りて弾いた事ありますが、そのたびに感激しました。トルテとはまた違った意味で材料が独特。憧れの弓です。

3本目はフランソワ・ぺカット。これはちょっと変化球的な存在です。世間で「ぺカット」といえばトルテと双璧といわれているドミニク・ぺカット。フランソワはその弟で、短命(34歳で没)だが天才的であったと言われています。ドミニクが高バランスで超機能的(音が下品とも言う人もいる)な弓であり、フランソワの息子シャルルが大変華やかでよく吸い付き、判りやすい良い音なのに対し、フランソワは魅惑的な力があると言われています。自分も1本しか見た事ありませんが、ねいろにとても惹きつけられるものがありました。ドミニクとの共作時代もあったので純粋なフランソワぺカットとしては数が少ない、これまた憧れ弓です。

ちなみにこの3大憧れ弓、現在は評価も完全に憧れレベル。3本足したら「劇的ビフォアアフター」が多分3本撮れるでしょう(笑)。全軒地盤改良入りで(爆)最早プレイヤーが持てる値段ではありません。

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そんな弓の世界ですが、「トルテとそれ以外」といってしまうと身もフタも無いのでもう少し細分化すると「トルテ系、ぺカット系、それ以外」という分類も可能かと思います。世の中の弓製作者は皆トルテを意識し、勿論フルコピーやインスピレーションモデルを作っています。ドミニクぺカットやヴォアラン、ラミー、サルトリーなども例外なくトルテモデルを作っています。日本でもアルシェにトルテの完コピモデルがあります。その上で皆、現代の要求(竿の強さ、音量、力強さ、バランス)に合わせオリジナルモデルを創っていきます。ただ、本当に進化しているかというと・・・万人向けにはなっているとは思いますが。

自分の印象では、ヘッドの形は見分けや機能としては大事ですが意外と音色には影響なく、音に一番影響するのは材料と竿の削りです。もう、この二つで全体の性格の7、8割が決まる気がします。竿には8角と丸がありますが一口に角、丸といっても様々。特に丸も(垂直に切ってみたとしたら)楕円や扇に近い削りのもの、(手元は必ず角なので)角の状態が長いもの、色々です。
「弓なんか皆同じにしかみえないよ」なんて自分も思っていましたが、西洋人からみてアジア人が同じに見えるのと一緒で、日本人から見ればはっきり違うわけで(ちと乱暴な喩え??)。弓も、自分も見分けがつかないながらも数見ると、どことなく好みの形や設計が雰囲気で伝わってきます。持った段階で好きか嫌いかはほぼ判り、音出すと大体の様子が判ります。楽器が人間の胴体だとすると弓は「喉、口」にあたるので本当に大事。喉や口が調子悪いと本当に困るでしょう。
by kennoy-mini | 2014-08-14 16:48 | kennoy工房。 | Comments(4)