この1年半くらいで、幸運にも色々な300Bアンプを体験(聴く)することができました。面白いのは多くの人たちと同じく、自分も初めて聴いた真空管アンプはエレキット製だった事でした。
山形の、自分がオーディオを持つきっかけとなった方がシーメンスのコアキシャルにエレキットの300Bアンプ(TU-873)を組み合わせて聴かれていました。色々なアンプを作られ、行き着いた先が300Bのしかも入門機(失礼!)のTU-873というのが興味深いです。因みにホルンを吹かれる方です。その方の友人の打楽器の方はヒノの2A3アンプを使われているそうです。
エレキットの300Bアンプは本当に自然な、「水」のようなアンプだと思いました。アンプの存在を感じさせず、SPの裏方となりいつまでも聴けるタイプ、一般的な「真空管は音がよい、柔らかい」のイメージに結構近い気がします。
(その後、サンバレープライム4とGE/6SN7GTBを誕生日にプレゼントしたら気に入って頂けて、音も変わりました。特に前段のGE/6SN7GTBで音が前にくるようになりました)
キット屋ショールームでSV-91Bを聴いた時のインパクトは凄いものでした。あれを聴いて「やっぱり真空管って音が柔らかいんだ」って思う人は…あまりいないんじゃないかな。参考までに聴かせて頂いたオールWE仕様はまさに銘器。Vnでいうとデルジェス、という感じでしょうかね(笑)。
デルジェスといえば、シュロモ・ミンツもデルジェスで、練習場で協奏曲を聴いた時に(なんてキツイ音、音圧の強い楽器だろう)と思いましたが、サントリーで弾きはじめた瞬間、オケと全く引けをとらない、むしろオケをも支配し、客席の一番後ろまで届いていくその音に圧倒されました。完全にホールで本領を発揮する楽器です。
SV-501SEは下向きに倍音成分の多い「玄人」なアンプという印象。「客席タイプ、S席タイプ」の評価も頷けます。未だに気になるアンプです。むりやり楽器にあてはめると(笑)…アマティかな。
mini91Bはシングルなのにトルクフル、またSV-91Bとはまた力強さが違う印象。楽器に例えるとテスト―レかな(これは結構良い例えでは??)
そして最近のお気に入り、VPmini300mk-Ⅱですが、自分の印象は91Bと501SEの間のようなキャラクター。響きが多く、低音の出方がふくよかです。91Bの締まった低音とは違います、なるほど商品説明の「ゾリっと」とは上手い言い方です。300Bアンプの中では手頃な存在ですが、良い意味で中庸なTU-873とは明らかに違う、ミネラルの多い音。山形でシーメンスSPにmini300を繋げたら「これ、置いてってもいいですよ」と言われちゃいました(笑)。
楽器だと「ストラド」といいたいとこですが、これをストラドにすると価格バランスがめちゃくちゃに(笑)。エンリコ・ロッカというところかな。このアンプをプリメインで使っている方は、だまされたと思って是非プリを通して入力VOLを最大にあげた本来の力を体験して欲しいです。新しい世界が見えてくると思います。お奨めは樽プリSV-20Dです。
気が付くと300Bシングルばっかり(苦笑)。すいません、つい。VP-3000も聴きましたよ、少しですが。店主が「シングルは音色を、プッシュプルは響きを聴く」と仰っていますが、なるほど確かにという感じ。一度vP-3000でkitLSをじっくり聴いてみたいです。モダン最高といわれる「プレッセンダ」としておきましょうかね。
…あ、「ストラド」が無い…SV-2(2007)ですよ(笑)。スイマセンまだ音の特徴を掴みきれていないが、近いと思います。山形の先輩はこのアンプが大変気になっている様です。…でも40kgは重い。
参考までに、チェロで最高と言われている楽器はストラドよりモンタニァーナともいわれています。ストラドのA線(高弦)は素晴らしい、でも対して低弦の鳴りが最強クラスにしては…という評価です。とは言っても「ストラドはストラド」ですが。フォイヤマンや堤さんはモンタニアーナです。箱が大きくて良く鳴り、「チェロ」のイメージにぴったりの音です。
…でもどの銘器も状態や製作年代など、「ピンキリ」です。ピン(キリ?)でいいから持ってみたいもんです。