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理想のチェロとは。

こないだ、くうが様から幾つか質問を受けました。それは「古いチェロと新しいチェロの違い」「究極のチェロとは」というもの。なるほど、これは手強い問いデス、、、

(あくまで自分の意見としての話です)
まず「古いチェロと新しいチェロの違い」ですが、、、

正直、離れたら(二階席とか)余り音色とか変わらない場合も(も!ですが)あります。新しいチェロで古っぽい音色が出る場合もあります。ただこのケースは(割と、ですが)比較的振動し易い造り、つまり板が薄めの場合が多いです。過剰に薄いと強度的な問題(数十年単位で弦のテンションにより膨らみが落ちてきて再度補強や膨らみの付け直しが必要になる)の他に、ウルフトーン(唸り)の増大や、遠くでの音が少し鼻にかかったような音色になったりします。
で、板が無駄に厚いとなにが悪いかというと、振動しにくいので発音重めだったり(チェロで発音悪いのは結構致命的)、ねいろが地味だったりします。なので製作者が作ったチェロを販売店がこっそり削って(一応贅肉を、、、という建前ですが)売りやすい音(鳴りとも言える)にして販売、、、というケースもままあります。ここで方向性を間違うと新作なのに不健康な(要素を持つ)楽器、という事になり後々面倒な事となります。
なので、自分の考える新作の良い楽器は、自分の中では「適度な重さ、厚みがあり長年のテンションに耐えうる良い材料、特徴的な木目、傷なくとも深みの感じるニス、適度に若い音だが可能性将来性を感じる鳴り」といった感じでしょうか。新作で【ねいろで圧倒】みたいな事はあまりないです。
(この意見は多分に偏見が入っているので話半分で)

次に【古い楽器は何が違うか】ですが(古い良い楽器の場合)、プレイヤーとして見た場合に一番感じるのは子音の種類、発音の速さの違いです。速さは弾くともう圧倒的に違います。クルマでいうタイヤのグリップ力の差。子音も雑音系のものとそうではないものがあり、良い子音がある楽器は遠達性が高い、遠鳴りというやつです。これは新作ではあまり感じられません、やはり経年/使用により得られるものではと思います。ねいろも近くでは静かだったりモノラル風だったりします、しかし密度がありプレイヤー自身の感性に訴えるタッチ、個性、濃さがあります。不思議。

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そして【究極のチェロとは】ですが、、、これはヴァイオリンと違い答えがまだありません。ヴァイオリンは完成度の極めて高い楽器で、型でいうとストラド型とデルジェス(ガルネリ)型の、ほぼ二択に現代ではなります。それくらい形としては研究し尽くされていて、恐らく他の究極の型はでてこないでしょう。
翻ってチェロですが、まずデルジェスのチェロは(諸説ありますが)存在しないと言われています、そしてストラドのチェロは「高音は素晴らしいんだけれど低音がね、、、」という話を、ストラド経験者から特に聞きます(それでもストラドですからレヴェルが違うのですが、、、)
そしてストラド/デルジェスもクレモナの作家なのですが、チェロの名器といわれるとヴェネツィア(ゴフリラーファミリー/モンタニァーナ等)ナポリ(ガリアーノファミリー等)ブレシア(マジーニ/ロジェリ等)ミラノ(テストーレ/グランチーノ等)等の作家の作品も(勿論vnもですが)チェロの評価がかなり高いのです。勿論形はまちまち。
特にゴフリラー/モンタニァーナのチェロはストラドのチェロ以上の評価がついています。モンタニァーナは見るからにストラドより容積があり(ある意味不格好)、ワイドな響き、オーディオ的に言うとまさに球面比的な鳴り、みたいな印象かと思います。ゴフリラーもぶっとい感じ。ただ、自分は高音も低音も締まった音が好きなので、自分の先生が長年ストラドを借りて使っていた事もありストラドのチェロの音は大好きなのです。小さい頃からの刷り込みというのは離れられないもんですね。

実は古いチェロはほぼ全部サイズが違い、また名のある楽器(ストラドでさえも!)カットダウンされている名器が沢山あります。カットダウンもいろんなやり方/ケースがあり、中にはf字孔を埋め直して再度開けられたもの(大抵製作者本人ではない)もざらにあります。不思議にも、それでも最初の製作者の音がする場合が多いです。本当に不思議、、、
現代でコピー(参考に)されているストラドのチェロの形は比較的スリムな形なのですが、特にお尻にあたり場所(ロアーバウツ)がカットされていないでっぷりしたストラドのチェロが存在する筈で、これが、自分のひとつの理想とするチェロの型です。恐らくですがボロディンSQのベルリンスキーが使っていたチェロはそれにあたるのではないか、と考えています。二度程生で聴きましたが戦車のような低音でした(笑)A線も素晴らしく、もううっとりでした。モンタニァーナやゴフリラーは贅沢ながら、少し脚色感がある気がするのです。それならいっそロジェリやテストーレの方が好みですね。

まぁ、好みではない名器でも、所有したらまた全然意見変わるんだろうな、、、

Commented by moccinocraft at 2019-02-08 20:42
古い楽器・新しい楽器そして板厚。これも究極の選択の部類なのカモしれませんが、弾きこんでいくうちにかなり音色は変りますよね。今ウチに残っているセミアコギターは、35年の年月を経ていい感じの音色・音量になってますが。
高校で使った楽器は、練習しすぎてフレットが指板にめり込んだ哀しい思い出があります。
Commented by kennoy-mini at 2019-02-08 21:32
moccinoさま、仰る通りでございます。
もう数見て、聞いて触れて体感するしかない世界です。
Commented by moccinocraft at 2019-03-07 06:57
コメントがエクステンドされてましたね...
前々から形の違いについて気になってました。特にコントラバスではfホールから下をカットした楽器を見ましたが、笑いを取りに行っているようで、却って、そちらで笑えました。
fホールの開け直しでも音色が変らないのは、DNAの力なんでしょうね。
ところで、先生がお借りしていたストラド、kennoy-miniさんは弾かれたんですか?
Commented by kennoy-mini at 2019-03-09 01:57
もう時効ですから白状しますが・・・レッスン開始前に先生のが無造作に置いてあったので、試しに触ってみた事あります(爆)凄くモノラルな音で(チェロは自分の耳の前に楽器があるので)後ろ側から聴くとこんな音なのか!!これは自分には無理だ、耐えられない、、、とそのときは思いました(笑)。濃い、モノラルという印象だけ覚えています。
by kennoy-mini | 2019-02-08 19:55 | 音楽雑感。 | Comments(4)

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