ここ数週間、かなり音の面で収穫がありまして、良い循環に入っている気がします。そんな中いくつかのスパイスを使った結果、楽器も調子良くなってきました。楽器の場合、顕著に「近くの音と遠くの音は違う」訳なので(理由は今回は割愛)近くで完成されたまとまりの良い音過ぎると、遠くではそこそこであることがままあります。ではどうすれば・・・というと「良い子音が出ている事」が決定的に大事かと思います。良い子音は音を遠くまで運んでくれます。ではどんな子音か、という話ですが・・・経験上「良い子音」としか言えません(笑)、でも嫌な子音と良い子音はれっきとして存在します。
人間の場合、子音の多くは「滑舌」による所が大きいと思いますが楽器の場合、楽器は勿論弓と弦によるところが大きいです。弓は「良いものを手に入れる」しかないのでここではとばすとして、、、弦の銘柄(テンション)とバランスが大事。何かの本で「3番線の強さと楽器の膨らみの関係がキャラクターを形成する」というような事を読みましたが、なるほどなと思います。加えて2番線も大事だと、ここ最近特に感じます。2番線の強さが相対的に1番線や3番線の強さに影響するので、ここが決まるととても良い子音が出ます。3番線で楽器全体の鳴りの傾向が決まり、2番線でディテールが決まる、といったイメージで弦を選んでいます。
子音の好みは多分に幼少期に形成されます。習っている時期の「師匠の出す子音」がひとつの指標になるからです。オーディオでも共通点はあると思います。幼少期の慣れ親しんだスピーカの子音は、ある意味一生付き合っていけるはずです。自分の先生は学校からストラドを借りて使っていたので、自分はレコードやCD、生演奏でもストラドの子音はやはり大好き、何故か違和感がありません。ゴフリラやモンタニアーナの子音はどんなに良い音でも脳のどこかで少し違和感を感じます。これが師匠の楽器がゴフリラやモンタニアーナだったら、きっと違和感がなかったんだろうと思います。贅沢な話ですが(笑)。幼少の「音体験」はある意味一生を左右します。
弓は「人生においてトルテを触ったことがあるか否か」でその人の選択眼が大きく変わってきます。ぺカット系はある意味万能で使い主を選ばないところがありますが、トルテ系は残念ながら弓側が使う人を選びます。チェロのトルテは今までの人生で数分しか触った事ありませんが、何故かvnのトルテでチェロを何回か、時間にして1時間ほど鳴らした事はあります(笑)。友人のvnの方の好意でです。この経験は自分の弓に対する概念を大きく変え、且つ形成しました。オーケストラにおいては正直ぺカット系が向いています。最近よーく判りました。近くでも大きな、説得力のある音がするからです。「もっと弾いて!」て言われた際に、他人に伝わりやすいんです。なのでどんなタイプの弓を使っているかが楽器の調整、セッティングの上でかなり大きなファクターを占めます。
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