先週は北海道のオケのお世話になりました。セクションの方にTRV-88SEをお使いの方がいらっしゃったので、88SEに使える前段球をお貸ししたところ、大変喜ばれました。オケには「筋金入りの真空管の大先輩」もいらっしゃり、楽しい、次回が楽しみな旅となりました。1000km位の道内移動で腰がちょっと悲鳴を上げておりますが・・・。
球交換について・・・以前一度まとめたかもしれませんが再び。真空管アンプである限り、球を替えると音は少なからず変わります。そうすると「標準の音ってなんなの?」となりますが、自分の考える標準球の意味は「バランスとコスト」だと考えています。
コストは字の如くなので置いといて、バランスとは「クラシックでもジャズでもロックetc,でも偏る事なく鳴る」という事かな、と。また信頼性、ノイズの点も大きいですね。入手性も大事ですし。初期状態はどのジャンルでも鳴らないといけない(クラシック専用アンプなんて聞いた事ないですね、そういえば。笑)
球交換をネガティブに考える意見も、よく分かります。「こんなに変わるなら・・・元の音ってなんなの?」という事でしょうね。
これはあくまで自分の意見ですが、真空管アンプ(を使う、という選択)は「音楽、音を聴きやすくするための選択」だと思っています。最初に感じたのは、ペロっとCDが1枚最後まで聴ける聴きやすさ(柔らかさではありません、念の為)と、リアル感、実体感。この「感」が大事で、あくまで感なんです。根津さんも仰っていますが「ラジカセで聴いても良い演奏は良い演奏」。その通りです。弾いたそのままの音、所謂「原音」を求めるのはあまり意味がないと考えています。世界中の録音のホールが同じ、マイクも機材も1種類だったらちょっと可能性もありますが・・・それでも厳しいかな。
最近ですが「球で音が変わる」という事は「弾いている場所が変わる、聴いている場所が変わる」事に近いと感じています。例えば、ヨーヨーマはサントリーで聴いても芸術劇場で聴いてもキタラで聴いてもヨーヨーマ。ではどの会場で聴きたい、どの席で聴きたいか・・・という感覚で、どの管で聴くと快適か、心地よいか・・・という事に近いのではないかと。
またもう一つに「しっかりSPやアンプをドライブして貰いたい為の管の選択」という着眼点です。これは一番大事な要素です。なので管が替わって「音が変わった」と感じるより「SP,アンプの本領が発揮された」と感じるようにもしています。
またドライブ管、メイン管は極端に言えばある程度「趣味、好み、気分」で選んで良いと思います。それに対し初段、前段、プリ球、整流管は好みプラスその人の生理的な耳の相性がある、と考えています。「合う、合わない」マル、バツ、サンカクが比較的はっきりしていると。システムさえ同じだったら、最初の印象がバツで暫く使ったら二重丸になる事はあまりない・・・と。また「一番高いのがベストとは限らない」のも面白い点です。
最近の経験ではDAC球>パワー前段球>プリ球>パワー出力管・・・の順で球の影響が高いかな、と・・・これは仮説で今後変わるかもしれませんが。あくまで自分のみの印象です。
球交換は肯定的にさえ考えれば、こんなにありがたい事はないと思っています。アンプ等をむやみに買い換えなくて済みますから。標準球でベストならそれ以上コストもかかりませんし。要は「気に入った音源をどれだけ快適、満足に鳴らせるか、音のうしろにある感覚に訴えるものを引き出せるか」が選択のカギだと思います。ただ「球ソムリエ」の存在は(自分には)必要ですが。
P.S.
オシムさんの通訳さんが書いている公式ブログを見つけました。オシムさん、やはり深い!
http://info.osimnodengon.com/?page=0