音楽を表現する上で、音色(おんしょく)、そして「ねいろ」は大事な要素です。自分の中では「おんしょく」と「ねいろ」は別で、「音色」は自分の中で作るもの、「ねいろ」は自分プラス道具(楽器ですね)。で、音色については横に置いておいて(笑)、ねいろです。ねいろは楽器(弓)に依存する訳で、弦楽器でいえば形、材質、年代、厚み、パーツ、弦、張力あたりでしょうか。この内奏者本人が後からチョイスできるのはパーツと弦と張力。一番難易度高いのは張力。未だに試行錯誤しています。
張力は弦の長さの他に太さ、材質、種類があります。弦はどのメーカーも大体ソフト、ミディアム、ストロングがあり、当然メーカーによって同じストロングでも張力が違います。自分は結構上2本、下2本を同じメーカーと同じ張力で揃えます。五度があいやすい、良い質の共鳴がしやすいからです。ところが、例えば1番線の強さを替えると4番線のねいろや倍音が変わる。2番線を変えると3,4番線のねいろが変わる、といった事がまま起きます。ヴァイオリンでは外側と内側の弦の強さのバランスでよく調整するらしいのですが、これが楽器の形やアーチ(側面からみた表、裏板の膨らみ)で合うタイプが読めるらしいのです。でもチェロはヴァイオリンほど楽器としての(形の)完成度が低いのでそのセオリーをあまり使えません。もうきりがないので普段はあまり探しにいかないのですが最近楽器に可能性が上がってきているので、今年は節目で弦の種類を替えています。自分の中に「理想のC線」(最低音)のねいろがあるんです。最近までそれに気付いていませんでした。オールドの楽器でないと出ないねいろだと思いこんでいたので。
それが最近、時折出るようになったんです。(えっ?)と思いましたが下2本の弦を職人のアドバイスでゲージの細いタングステンにしてからバランスが変わり、それだけが原因でありませんが時折出る。どうやらその「理想のC」は固有の倍音バランスなんだな、と判りました。ゲージを細くすると低い倍音は出にくいイメージがあったのですが、上2本との張力バランスの違いで変化が生じました。
もう約25年使っているのですが、張力バランスはまだつめられそうです。まさかでしたが。可能性を見出せる事は本当に嬉しい。まだまだ勉強です。
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