6732SEプリ「こばちゃんプリ」の整流管選び第一弾をしていて(6SN7とECC32を前提にしている為。SEは自分の為に再ヴォイシングしていただいたスペシャルエディション!)、興味深いCDがありました。サイトウキネンメンバーによるサンサーンスの「動物の謝肉祭」。整流管の話はまた後日するとして・・・
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このCD (PHCP-1496)の白鳥は天才、安田謙一郎先生が弾いているのですが(一度だけレッスンして頂いた事があります)・・・これがなんとも初めて聴く白鳥。スーパーしみじみなんです!!抑制された表現。決して大見得を切らない。断じてびびっているわけではありません(笑)。安田先生はそんなタマ(失礼!)ではありませんから。
色々逸話があります。奇才、といってもいいかもしれません。自分の先生達世代が皆少なからず影響を受け、憧れる方だったようです。過去形で書いたのは亡くなったからではなく途中で皆「無理だ・・・」と悟るから。因みに白鳥は名曲中の名曲ゆえに普通は結構ドキドキします。自分もです。気軽な曲ですが気軽に弾ける曲ではないんです。
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で、ビビらずに安定して弾くには自信が必要、それには音を安定させたいのが心情なので、必然的に楽器をしっかり鳴らす、音量を出し「音をしっかり張る」演奏になる事が多いです。それをこの表現・・・凄いなと、整流管を選びながら思いました(はじめは謝肉祭がチェロもコントラバスもピアノもVnもクラも木琴も入ってい格好のオーディオチェック音源だ、とほくそえんでいたのはここだけの秘密です)。しみじみと、(弱め抑え目で)素敵に弾くのは本当に難しいんです。しっかり弾く数倍困難で、勇気が要ります。
で、何回か聴くうち(なんでこうやって弾くんだろう??)と疑問が湧きました。こういう閃きを受けるためにうちのオーディオ(オーディオの音つくり)はあります。そして何気なく解説を読んだら・・・
「全曲のなかでも異色の純粋美は、友人のチェロ奏者レボックへの贈り物ゆえ」と書いてある。そこでウィキで「サンサーンス 白鳥」で調べると~「(動物の謝肉祭自体が)チェリスト、シャルル・ルブークの催すプライヴェートな夜会のために作曲された・・・」とあります。この場合のルブークとレボックはまぁ、同じ人でしょう。
大事なのはこの「レボックのために作曲した、贈り物」という事。贈り物って、大事に贈るし大事に受け取りますよね。その「大事さ、慈しみ、特定の人に作品を贈ったサンサーンスの気持ち」を安田先生はこの白鳥に込めて表現されたのでは、と。深読みかもしれませんが、安田先生ならそこを一番に考えていた可能性は充分有ります。非常に勉強になりました。天才の考える事はやはり違います。
しかし、こうして考えると特定の人をイメージした曲って、結構名曲揃いですね。ぱっと思いつくだけでもドボルジャークのチェロコン、ブラームスのドッペル、モーツァルトのクラ5、ブラームスのクラ5・・・その時代にその作曲家の近くに名手がいたことに感謝しなければいけません。
P,S, 白鳥の原曲はチェロと2台ピアノだ、という事も大変勉強になりました(爆)