「耳」を聴く。

「アンプの先輩」からサンオーディオのプリ、SVC-200をお借りしました。ありがとうございます。思えば一番初めに真空管アンプと認識して聴いたのはエレキットのTU-873(赤いLEDの代)でした。その次がいきなりSV-91B。そこからキット屋のアンプばかり触れてきました。サンオーディオは全く初めてです。


本体はしっかりしていてキットには見えないくらいです。沢山RCAジャックがあり、トーン調整はありません。電源オン時に少しハムを感じますが、その後落ち着きます。半導体整流バージョンです。Eiの12AU7Aだそうです。

出音は…低音がよく出ています。この位が心地よく聴きやすいでしょうね。とても素直な、良いバランスの音です。定位感は特に前後方向がよくでている感じがします。充分満足でしょう、樽プリやSV-310を持っていなかったら。
比較試聴をしたり、個別にじっくり聴いたりするとお互いの長所がわかります。SVC-200はどのアンプやSPも乗りこなしやすい強力な味方になると思います。
個人的に気になるのは「アンプ、SPが鳴っている」感じがある事です。そして特にSPの左右を感じる、左右SPから放射される音がセンターで合成されない感じがあります。「SPが消えない」というか。
樽プリやSV-310は、音の鳴りこそSVC-200より少し控えめですがSPが存在を消し、部屋がちょっとホールに近い雰囲気になります。キット屋アンプの実体感は結構プリに鍵があるかもしれません。

音楽家にとってありがたいのは、弱音、中音の表現力が抜群に良い事です。空気感、ザワザワ感がよく出ます。また、音自体の魅力もありますが音と音の間をちゃんと歌ってくれます。実はこれは大事な事です。
(クラシックは基本的に調性音楽、つまり和声があるので和声がある、という事は音に方向性…向かいたい方向・気持ちがある、という事です。紆余曲折後にⅠ度(主和音)や再現部にくると安心する…みたいな。例えばベートーベンの運命の4楽章への繋ぎ部分のような事です。和声感が身につくと、音自体より音と音の間に気持ちを込めるようになります。その感じが樽プリもSV-310もちゃんと表現できています。ここが浅いとさらさら流れて聞き流せるようになってしまいます。キット屋アンプのミソはクラシックの弱音部がちゃんと再現できる事かもしれません。)


今回比較試聴して、物量が投入されているSV-310はともかく、高機能がウリに見られがちな樽プリがとても表現力豊かで感心、もう少し音の面が評価されてもいいのでは…と感じました。6DJ8を使ったプリアンプは世に数多くあると思いますがこういう感じが出るのはきっと少ないと思います。
SV-310は…、ただ一言、「持っててよかった」。「目の前感」がとにかく高いのです。この感じはなるべく無色、無着色というより球の個性を借り適切な絵の具、筆を選ぶ事で逆にリアリティ(説得力ですね)を表しているのかな…と素人ながら感じたりします。良い演奏家が良いホールで弾く事で説得力が増すのと同じような事かもしれません。オーディオは原音再生ではないのだから、では何が必要かといえば「説得力」だと思います。このプリはその「説得力」が一番高いアンプかもしれません。


アンプの設計者はもっとクラシックを念頭、中心に設計・ヴォイシングしてもいいのでは…と大変おこがましくも少し思いました。管、弦、打…色んな構造の楽器があり、音量レヴェルがこれだけ上下するジャンルはクラシックしかありません。その弱音、中音部分を上手く表現できれば本当の実体感の強いアンプではないか、と。
ただこれだけは「耳のよさ」が決定的に必要です。誰でもは出来ない。大橋さんの耳のよさは抜群ですから、これを他人が真似るのは無理ってもんです。全く敵いません。自分はこの「耳」に感服しているんだと思います。耳は使っていれば一生進化できるらしいので(聞き取れる周波数的な意味ではなく)、大橋さんの耳はまだまだ進化するのでしょうね!
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by kennoy-mini | 2010-03-18 00:00 | オーディオ雑感。 | Comments(0)  

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